2026年10月22日に開催されたプロ野球ドラフト会議で、阪神タイガースは明治大学の外野手・榊原七斗を1位で単独指名した。事前報道では青山学院大学の捕手・渡部海が1位指名の最有力候補とされ、スポーツ紙6紙の予想も渡部で一致していた。それだけに、阪神の選択はドラフト当日の大きな注目点となった。
阪神は今回、支配下7人、育成2人の計9人を指名。2位の馬場拓海、3位の常深颯大をはじめ、投手を複数獲得する一方、4位では内野手の相羽寛太、6位では社会人捕手の越川海翔を指名した。藤川球児監督が掲げる戦力層の拡充という観点から見ると、1位のサプライズだけでは見えてこない編成上の狙いが浮かび上がる。
【2026年10月22日のドラフト結果】阪神は誰を指名したのか

阪神の2026年ドラフトは、即戦力性を重視した構成が特徴だ。球団公式の年度別ドラフト指名一覧によると、支配下の7人は大学、社会人、独立リーグから選ばれ、高校生の指名はなかった。育成でも徳島インディゴソックスから2人の投手を指名している。
以下が、10月22日に確定した阪神の指名結果と、チーム編成の観点から読み取れる役割だ。個々の選手が実際に一軍で担う役割は、入団後の成長やチーム事情によって変わる。
| 順位 | 選手・所属 | 守備位置 | 指名の注目点 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 榊原七斗(明治大学) | 外野手 | 走攻守を備えた即戦力候補。近本光司の後継育成を見据える。 |
| 2位 | 馬場拓海(日本体育大学) | 投手 | 変則的なトルネード投法が特徴の右腕。投手陣の競争を促す。 |
| 3位 | 常深颯大(大阪経済大学) | 投手 | 149キロの球速を持つ変則左腕。左投手の選択肢を広げる。 |
| 4位 | 相羽寛太(ヤマハ) | 内野手 | 堅守が評価される内野手。守備の選択肢を広げる狙い。 |
| 5位 | 的場吏玖(天理大学) | 投手 | 大学から投手を追加し、選手層の厚みを追求する。 |
| 6位 | 越川海翔(東京ガス) | 捕手 | 強肩が注目される社会人捕手。捕手陣の将来を見据えた指名。 |
| 7位 | 石井康輝(徳島インディゴソックス) | 投手 | 独立リーグから投手を獲得し、支配下の選択肢を増やす。 |
| 育成1位 | 山下健信(徳島インディゴソックス) | 投手 | 育成枠で投手を確保し、将来の戦力化を目指す。 |
| 育成2位 | 荒木誠也(徳島インディゴソックス) | 投手 | 独立リーグからもう1人を獲得し、投手層の底上げを図る。 |
指名の内訳は、支配下が投手4人、野手2人、捕手1人。育成も含めると投手は計7人となる。特定のポジションだけを集中的に補強するのではなく、複数のポジションで競争を生み出す構成だ。
また、支配下7人と育成2人の全員が大学・社会人・独立リーグ出身で、高校生はゼロ。2018年以降の近年の阪神ドラフトと比べても、2027年シーズンに向けた戦力の補充を強く意識した指名といえる。
【渡部海の1位予想はなぜ外れた?】直前報道と実際の指名を比較
今回のドラフトを振り返るうえで重要なのは、渡部海が阪神の補強ポイントに合致していなかったわけではない、という点だ。
10月上旬からドラフト前日までの報道では、青山学院大学の渡部が阪神の1位候補として繰り返し取り上げられた。日刊スポーツなどは、坂本誠志郎、梅野隆太郎、伏見寅威といった主力捕手が30代を迎えていることを背景に、次代の正捕手候補を確保する必要性を指摘していた。
ドラフト当日の予想も渡部に集中していた。ドラフトウォッチがまとめたスポーツ紙6紙の予想では、スポーツ報知、スポニチ、日刊スポーツ、サンケイスポーツ、東京中日スポーツ、デイリースポーツのすべてが渡部を1位に挙げていた。榊原は主に外れ1位候補として扱われていたのである。
ところが、阪神が実際に入札したのは榊原だった。渡部は楽天が1位で指名し、交渉権を獲得。阪神は渡部を指名しないまま、榊原の単独指名に成功した。
この結果を「阪神が抽選を避けた」とだけ解釈するのは正確ではない。10月23日付の日刊スポーツなどによると、藤川監督は、競合を避けたのではなく「一番ほしい選手が榊原選手だった」という趣旨の説明をしている。球団側は、榊原を当初から高く評価しており、最終的に1位として選択したという立場だ。
つまり、今回の予想と結果の違いは、捕手の補強が不要になったことを意味するのではない。報道各社が注目した補強ポイントと、球団が最終的に最優先と判断した選手が一致しなかったことに、ドラフトの難しさが表れている。
【1位・榊原七斗を徹底分析】ポスト近本として期待される理由
榊原七斗は兵庫県出身で、報徳学園高校から明治大学に進んだ左打ちの外野手だ。高校時代には投手としても活躍し、明治大学では野手に専念。東京六大学野球で通算12本塁打を記録し、俊足と強肩も備える選手として評価されてきた。
日刊スポーツなどのドラフト関連記事では、榊原は走攻守のバランスに優れた外野手として紹介されている。50メートル走5秒9、遠投110メートルという能力も報じられており、単に足が速いだけではなく、外野守備や打撃も含めた総合力が持ち味だ。
阪神にとって特に大きいのは、近本光司の後継候補を確保できた点である。近本は長年、阪神の外野守備と打線の起点を支えてきた。将来的な世代交代を考えれば、同じ左打ちの外野手で走攻守を備えた榊原を獲得する意味は大きい。
もっとも、「ポスト近本」という呼称だけで、入団直後から近本と同等の成績を残せると判断するのは早計だ。プロでは投手の球威や変化球、配球への対応が大学野球とは異なる。外野守備の判断、出塁率、長打力の再現性など、実戦を通じて評価すべき点は多い。
藤川監督はドラフト後、榊原について、甲子園という広い球場を本拠地とする阪神の戦い方に適合することを評価したと説明した。加えて、近本への憧れを持つこと自体は否定せず、入団までには競争相手としてスタートできる力を備えてほしいという趣旨のメッセージも送っている。
ここから見えるのは、単なる将来性重視ではなく、現在のチームに必要な能力を持ち、近い将来のレギュラー争いに加われる選手を選ぶという考え方だ。榊原の評価は、入団時の期待だけでなく、近本や他の外野手との競争を通じてどこまで成長するかによって定まっていく。
【2位以下の指名を検証】投手・捕手・内野手の補強ポイント
2026年の阪神ドラフトは、1位の榊原だけを見ても全体像をつかめない。2位から7位までの指名には、投手層の拡充と捕手・内野手の選択肢を確保するという、複数の目的が組み込まれている。
2位・馬場拓海(日本体育大学)は、変則的なトルネード投法が特徴の右腕だ。先発・救援のどちらで起用されるかは今後の適性やチーム事情によるが、大学で培った投球をプロの打者に対して発揮できれば、投手陣の競争を促す存在となる。
3位・常深颯大(大阪経済大学)は、149キロの球速を持つ変則左腕として報じられている。左投手の補充という観点に加え、独特の投球フォームや球の見え方が、打者への対応力につながるかも注目点だ。藤川監督もドラフト後、常深を獲得できたことを評価する発言をしている。
4位・相羽寛太(ヤマハ)は、堅守が特徴の内野手だ。社会人での経験を持つ選手を加えることは、内野守備の競争やバックアップ体制を考えるうえで意味がある。打撃成績だけでなく、複数の守備位置への対応力や、プロの試合で求められる判断の速さも評価のポイントになる。
5位・的場吏玖(天理大学)は、投手陣に加わる大学生投手だ。2位の馬場、3位の常深に続いて投手を確保したことで、阪神は大学生投手の獲得を上位から中位まで継続した。誰が先発ローテーションや救援陣に食い込むかは、春季キャンプ以降の競争に委ねられる。
6位・越川海翔(東京ガス)は、強肩が注目される社会人捕手だ。1位候補として報じられた渡部を指名しなかった阪神にとって、捕手をまったく補強しなかったわけではない点は押さえておきたい。越川がプロの投手陣と組み、送球や守備面でどの程度の力を発揮するかが焦点になる。
7位・石井康輝(徳島インディゴソックス)は独立リーグから指名された投手で、育成1位の山下健信、育成2位の荒木誠也も同じ徳島からの指名となった。独立リーグ出身者の獲得は、支配下指名だけでなく育成枠を通じて戦力の可能性を広げる選択でもある。
ただし、ドラフト順位がそのまま一軍での出場機会や将来の成績を保証するわけではない。各選手の評価は、プロでの適応、故障の有無、守備や制球の安定性、既存選手との競争によって変化する。指名時点での役割の期待と、実際の戦力化は分けて考える必要がある。
【藤川球児のドラフト戦略】即戦力重視と戦力層の拡充
今回の指名全体を貫いているのは、特定のポジションを埋めるだけでなく、チーム全体の選択肢を増やすという考え方だ。
日刊スポーツが10月23日に報じた藤川監督の説明では、今季の先発ローテーションについて、村上頌樹、才木浩人、高橋遥人らを中心に競争力を高める必要性が示されている。2位と3位で投手を連続指名した背景には、現在の投手陣を固定的に考えず、競争を通じて厚みを増す狙いがある。
監督はまた、誰かが故障した際に次の選択肢がなくなることを球団の課題として挙げ、戦力層を広げる方針を説明した。ドラフトでは、レギュラー候補を獲得することだけでなく、一軍と二軍を含めたチーム全体で、離脱に対応できる人員を確保することも重要になる。
この方針を象徴するのが、高校生を指名せず、大学・社会人・独立リーグ出身者だけで9人をそろえた構成だ。高校生の獲得を通じて数年先の成長を待つよりも、比較的早い段階から競争に加われる選手を多く確保する判断だったと考えられる。
一方で、即戦力候補を多く指名したからといって、全員が翌年から一軍で活躍できるわけではない。大学生や社会人の選手にもプロへの適応期間は必要であり、独立リーグ出身者も含め、入団後の育成体制が結果を左右する。
加えて、ドラフト前の報道では、佐藤輝明のポスティングによるメジャーリーグ挑戦を球団が承認したことも伝えられていた。主力野手の将来的な離脱を見据えた場合、外野手の榊原を1位で確保する判断は、目先の補強だけでなく中長期の戦力構想にもつながる。
捕手については、主力陣の年齢構成を踏まえれば、今後も世代交代が重要なテーマになる。今回は越川を6位で指名したものの、捕手の将来像がこれで完成したと判断するのは早い。既存捕手の起用、若手の成長、今後のドラフトや補強を含め、数年単位で評価すべき課題だ。
【阪神ドラフトの評価とファンの評判】歴代指名との比較
今回のドラフトに対する評価が分かれる最大の理由は、事前予想と実際の1位指名が大きく異なったことにある。捕手の世代交代を優先すると考えていたファンにとっては、渡部を指名せず榊原を選んだことが意外な結果に映った。
高校野球ドットコムなどの報道では、渡部を予想していたファンから、捕手補強をめぐる疑問や驚きの反応が出たことが紹介されている。一方、榊原を評価する立場からは、近本の後継候補になり得る外野手を確保できたことや、投手を含めて複数ポジションを補強した点が評価材料となる。
ただし、ファンの反応は一様ではなく、SNS上の一部の声を全体の総意として扱うことはできない。週刊ベースボールONLINEのドラフト満足度では、阪神に75点という表示があったものの、確認できる投票数は1人だった。これだけでファン全体の評価を代表する数値と判断するのは適切ではない。
歴代ドラフトを振り返ると、阪神は2018年に近本光司、2020年に佐藤輝明、中野拓夢、村上頌樹らを指名している。いずれも現在のチームを考えるうえで重要な選手だ。2026年のドラフトも、榊原が将来の外野手として定着し、馬場や常深らが投手陣の競争力を高められるかによって評価が変わってくる。
歴代の成功例から学べるのは、ドラフトの評価を指名当日の知名度や順位だけで決められないということだ。上位指名選手が期待どおりの活躍をするかに加え、中位や下位、育成指名から一軍の戦力が生まれるかも重要になる。2020年に指名された村上や中野のように、ドラフト後の成長と起用によって評価を高める選手もいる。
今回の阪神ドラフトを評価する際は、少なくとも次の3点を分けて見る必要がある。第一に、榊原が一軍外野手としてどこまで適応できるか。第二に、馬場、常深、的場らの投手がローテーションや救援陣の競争に加われるか。第三に、越川を含む捕手陣の世代交代が着実に進むか、という点だ。
1位指名が予想と異なったことだけを理由に失敗と断じるのも、9人を獲得したことだけで成功と断定するのも早い。ドラフトの真価は、数年後の一軍戦力、選手層、故障者が出た際の対応力に表れる。
【阪神タイガースドラフト予想】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:阪神の2026年ドラフト1位は誰ですか?
A1:明治大学の外野手・榊原七斗です。10月22日のドラフト会議で阪神が単独指名しました。事前報道では青山学院大学の捕手・渡部海が最有力候補とされていましたが、最終的に榊原が選ばれました。
Q2:阪神が渡部海を1位指名しなかった理由は何ですか?
A2:藤川球児監督は、競合を避けたのではなく、榊原が最も欲しい選手だったという趣旨の説明をしています。球団は甲子園との相性や走攻守の総合力を評価しており、捕手を指名しなかったことだけで補強方針全体を判断することはできません。
Q3:阪神の2026年ドラフトで投手は何人指名されましたか?
A3:支配下では馬場拓海、常深颯大、的場吏玖、石井康輝の4人を指名しました。育成では山下健信、荒木誠也も獲得しているため、支配下と育成を合わせると投手は計6人です。
Q4:捕手の補強はできたのでしょうか?
A4:支配下6位で東京ガスの越川海翔を指名しています。ただし、渡部のような上位候補の捕手を獲得したわけではありません。既存の捕手陣と越川の成長を見ながら、今後の世代交代を評価する必要があります。
Q5:2026年の阪神ドラフトは成功だったのでしょうか?
A5:現段階では確定的な評価はできません。榊原の外野手としての適応、投手陣の競争力向上、捕手の世代交代、育成選手の成長などを継続的に確認が必要です。指名直後の評判だけでは、ドラフトの成否は判断できません。
2026年10月22日の阪神ドラフトは、渡部海を1位指名するという事前予想を覆し、明治大学の榊原七斗を単独指名する結果となった。榊原は近本光司の後継候補として期待され、2位の馬場拓海、3位の常深颯大をはじめ、投手陣の層を厚くする指名も続いた。加えて、内野手の相羽寛太、捕手の越川海翔、独立リーグ出身の投手らを加え、支配下7人・育成2人の計9人を獲得した。
藤川球児監督の説明から読み取れるのは、競合を避けること自体ではなく、チームに必要な選手を見極め、戦力層を広げるという方針だ。渡部を指名しなかったことへの疑問は残るものの、捕手補強の必要性と、榊原を最優先とした判断は別々に評価すべきである。
【プロの結論】 2026年の阪神ドラフトを見極める基準は、1位指名の意外性ではなく、獲得した9人がチームの弱点をどこまで補えるかにある。榊原が一軍の外野手争いに加わり、投手陣が競争によって厚みを増し、越川らが捕手の将来を支えられるか。加えて、中位・下位や育成指名から戦力が育つかも見逃せない。2027年シーズン以降の起用と成長を追うことが、今回のドラフトを正しく評価するための最も確かな判断基準となる。